皆様、ゴールデンウィークをいかがお過ごしでしょうか。(ちなみにこの記事は、休日出勤して書いているわけではなく、予約投稿です)
今回は Forkwell とはあまり関係ない話題。
私事ですが、職場で使っているキーボードを新調しました。
購入したのは東プレ製「Realforce91UBK-S」。テンキーなし日本語配列の静音モデルです。
そう、
です。(すいません、これが言いたかっただけです)
「弘法筆を選ばず」と申しますが、私に言わせれば、あんなのは道具にこだわりがなくてケチりたい人が半分やっかみで言い始めたようなもの。
たとえば一流のアスリートが、そのへんのホームセンターで買ってきたような安物のスニーカーを履いて試合に出るでしょうか?
別に統計を取ったわけではありませんが、おおかのプログラマー人生で出会ってきた人たちの中では、すごい人ほど必ずと言っていいくらいキーボードにはその人なりのこだわりを持っていました。
またキーボードに限らず、ディスプレイやエディター等の開発環境、はたまたオフィスチェアに至るまで、彼らが普段使う道具の選定にはまさに「職人」さながらの信念みたいなものが感じられました。
逆に道具にこだわりのない人というのは、そもそもいい道具を見分けられるだけの目利き力を持っていません。
これまで私が1万円以上するキーボードを職場に持ち込んだときなど、「信じられない、お金の無駄遣い」のようなことを言う人たちがいたわけですが、そういう人たちに限って「コードなんて綺麗じゃなくても動けばいい」みたいな仕事ぶりのことが多かったです。
日本のギークが使うキーボードと言えば、PFU の Happy Hacking Keyboard (Professional) と東プレの Realforce が双璧をなしているわけですが、どちらを選ぶかによってその人がどんなタイプのプログラマーなのかがおおまかに分かるというのが、おおかの持論です。
まずは Happy Hacking Keyboard (HHK)。
これは「日本で最初のハッカー」と呼ばれた和田栄一氏と PFU の共同開発により生まれたキーボードです。
まさにUNIX使いによるUNIX使いのためのキーボードと言ってよく、テンキーはもちろんのことファンクションキーやDeleteキー、Home/Endキーのような軟弱なキーは除外、さらに上位機種の Professional シリーズでは矢印カーソルキーまでをも取っ払った超ミニマムな構成となっており、省スペースとホームポジションでのキー入力に徹底的にこだわった製品です。各キーの押下圧も、全て45gで統一されています。
極めつけは Professional2 の墨/無刻印モデル。英語配列なのは当然として、なんとキートップに入力文字の表示がありません。
「真のエキスパート」だけが使うことを許された道具。ガンダムに喩えるとするなら、ニュータイプ専用機として開発された「Ζガンダム」や「キュベレイ」のような機体。
キーに文字なんか書いてなくても、「…そこっ!」とバシバシ打ち落としてしまうニュータイプだけが使いこなせるキーボードです。
そして、もう一方の雄。Realforce。
これは HHK とは対照的に、「普通を極めたキーボード」と言ってよい製品です。
メーカーの東プレは、金融機関などのデータ入力などの業務利用に使われるキーボードをOEM提供していた会社であり、その思想は一般ユーザーにとっての打ちやすさを追求したもの。
キー配列も「ザ・ノーマル」なPC/AT互換機の配列。さらにそこからテンキーだけを除外して他のキーをそのまま残したモデルも用意されています。
東プレは HHK Pro でも採用されている静電容量無接点方式スイッチの開発元であり、最初にこのスイッチがキーボードに採用されたのも Realforce。安物のメンブレン方式とは一線を画す、非常に軽快なタッチです。
キーの押下圧は、中心が一番重くて55g、そこから遠くなるにつれて45g、30gと3段階に軽くなっていき、指を酷使しがちで腱鞘炎になりやすいキーパンチャーにも優しい設計になっています。(※91UDK-G等の一部のモデルを除く)
冒頭でも触れましたが、今回おおかが購入したのも、この Realforce です。
エッジが立ちまくった HHK と違い、これはオールドタイプが最高のパフォーマンスを発揮するための機体。
これまたガンダムに喩えると、量産機ながらその整備性と運動性の良さで一般兵から長く愛されたエゥーゴの主力機「リック・ディアス」や、スタンダードな設計ながらもVガンダムと同じジェネレータを使用した高出力と機動性でリガ・ミリティア戦力の中核を担った「ガンイージ」を彷彿とさせるキーボードです。(お値段的には、Realforce は HHK Pro に引けを取りませんが)
HHK は廉価版の Lite も使ったことがありますが、おおかはやはりニュータイプではない凡人なので、癖のない Realforce が一番しっくりきます。
実はこれで Realforce を買ったのは3枚目。
ずっと職場で使っていたのも Realforce89。PS/2インターフェースでWindowsキーとアプリケーションキーがないという2003年発売の年期モノです。(調べてみたら、2006年にはもう生産終了していました)
買ったのはよく覚えていませんがおそらく2004年頃なので、8年近く使っていた計算になります。
普通に使っている分にはさほど不満はなかったのですが、2年ほど前に自宅用に Realforce91U を買って使ったときに、キータッチの進化に驚き、また必要ないと思っていた Windows キーも、デスクトップ Linux では地味にアサインされていたりして、あれば便利かなと思っていたのでした。
またたいていの職場ではディスプレイがブラックなので、ホワイトのキーボードとの色の取り合わせが悪いなと感じていたのもあり、このあいだ Facebook 友達が「Realforce 買ったよー!」とシェアしていたのにつられて、そのまま Amazon で 91UBK-S をポチってしまった次第です。
セッティングして使ってみると、その上質のキータッチは静音機構のおかげか、さらに洗練されているように感じられます。
今回、わざわざ割高な静音モデルにした理由は、耳が結構敏感で Enter キーを強く叩いたときの「パシィッ!」という音で鼓膜が一瞬萎縮するくらいなのですが、それが軽減されるかもと思ったから。
「通常モデルより30%静音化」との売り文句でしたが、通常キーはもちろんのことスペースキーやEnterキーといった大きいキーを強く叩いても、「…カシュッ」くらいの音なのが気に入りました。
これでこのブログを書くにも、これからは滑らかに筆が運びそう。
今のところ、Forkwell チームでは HHK 派が2名に対して、Realforce 派がおおかの1名のみと劣勢なのですが、無派閥のメンバーに今回ちょっと使わせてみてあげたところけっこう感銘を受けていた様子。これを期に Realforce 派を増やしたいものです。